一般社団法人 富士ストランディングネットワーク
Fuji Stranding Network

!更新案内!

2024/7/10 活動報告 (2024年73日、2024年7月7日)

2024/6/11 活動報告 (2024年65日)

2024/5/23 雲見くじら館のセミクジラ全身骨格標本の移転について を更新しました

2024/2/21 活動報告 (2024年2月21日)

2023/10/25 活動報告 (2023年10月21-22日)をアップロードしました

2023/10/4 活動報告 (2023年9月30日)をアップロードしました

2023/6/17 活動報告 (2023年6月10-11日)をアップロードしました


更新履歴

ストランディングとは

クジラやウミガメなど、本来は海に暮らす動物が陸に打ち上がってしまうことを「ストランディング (英: stranding)」と言います(ウミガメの産卵やアシカの休憩など、その動物の習性として上陸する場合を除きます)。

動物が生きて打ち上がることを座礁、海で死んでしまった後に波に運ばれて流れつくことを漂着と呼びます。また海上を漂流する死骸が見つかる場合や、港や川など本来の生息地ではない場所に迷入する場合も広い意味ではストランディングに含まれます。


富士ストランディングネットワーク(FSN)の活動

日本近海には40種類ものイルカやクジラ(鯨類) が生息しています。あまり知られていませんが、鯨類のストランディングは珍しい現象ではなく、日本で報告されているだけでも年間200件以上が発生しています。座礁して死んでしまったり死骸が打ち上げられたりと状況はさまざまですが、そのような鯨類の死骸は腐敗すると悪臭を放ち、放っておくと血液や脂肪が流出していきます。海水浴場や港湾でこのような事態が起きると、生活や船の運行にとって大きな問題になります。一方でこれらの死体は、鯨類の生態や海の環境を調べる研究活動にとって貴重な研究材料でもあります。

富士ストランディングネットワークはこのような鯨類死体を適切かつ迅速に撤去し、さらに学術的な調査研究にも役立てることを目的とする団体です。静岡県富士市に拠点を置き、これまで国内各地で大型・小型鯨類のストランディングに対応し、死骸の撤去や研究調査のサポートを行っています。

行政機関の方へ

日本では鯨類死骸の撤去・処分に関して、県や市町村の環境衛生課などが担当される場合が多いです(水産庁鯨類座礁対処マニュアル )。しかしながらこれまでにストランディング対応の経験がない自治体も多く、鯨体の処分について戸惑う声は多いです。またマニュアルが存在していても、実際に現場でどのような機材が必要か、どうやって解剖したらよいのかわからない、という意見もあります。FSNではそのような自治体の要請を受けて鯨体の処分事業を請けおっています

鯨類と一口に言っても、1m程度のスナメリから30mに達するシロナガスクジラまでさまざまな「種」が存在し、必要な機材や設備は鯨種や地形によってケースバイケースです。FSNでは小型鯨類から大型鯨類まで、さまざまな地形にも対応して鯨死体の撤去を行っています。

小型鯨類のストランディング対応

2m程度の小型のイルカ類であれば、人力で担架に乗せて運ぶことができ、4mぐらいまでならユニックやバックホーで吊り上げて運搬します。個体の全身をトラックやバンに積み込んで研究施設に運搬し、研究施設にて種の判別、体長計測、写真撮影などを行います。死体は解剖調査を経てさまざまな研究材料や骨格などの標本を採取し、残滓は焼却や埋却により処分します。運搬車両やブルーシートなど最小限の資材で対応可能です。

担架で約2mのスジイルカを運ぶ様子。この後博物館に運搬し、解剖調査を行いました

大型鯨類のストランディング対応

クジラの中には10mを超えるものもたくさんいます。当然重量も相当なものになるため人力では運搬が困難であり、クレーンや大型トラックが必要になります。処分方法としては近くの砂浜に埋却、海洋投棄、細切れにして焼却などがあります。どの方法をとる場合も、死骸の分解を早めるため腹部を開いたり厚いに切れ込みを入れたりする必要があります。また大型鯨類は種を判別して水産庁に届け出る必要があり、有識者による調査が推奨されます。
FSNでは重機やユニック搭載のトラックを所持しており、免許資格をもつオペレーターも在籍しています。地元の土建業者と連携して、大型鯨類の運搬や解体に必要な技術を提供できます

北九州市の港に漂流していたナガスクジラの死骸。大型トラックに載せて付近の埋め立て地へ輸送し、解体して埋却処理を行いました。

マス・ストランディング

複数頭の鯨類が同じ海岸に打ち上がることをマス・ストランディング(集団座礁/集団漂着)と言います。このような場合、まずは鯨種何頭がどのくらいの範囲にわたってストランディングしているのか、状況の全貌を把握する必要があります。過去には数kmにわたって100頭以上が座礁した例もあります。
各個体が運搬可能な大きさであれば、研究施設や処分場に運びます。運搬が困難な場合は現場地形に合わせて埋却や解体運搬などの対応を行います。

静岡県沼津市で発生したスジイルカのマス・ストランディング。一頭一頭は2m弱と小型だったため、全頭をトラックに積み込み、水族館や博物館に運んで解剖調査を行いました。

ライブ・ストランディング

打ち上がった鯨類がまだ生きている場合をライブ・ストランディングと言います。救助の見込みがあれば水族館等の専門機関との連携が必要です。しかし大型のマッコウクジラなど、救助が困難な場合もあり、時には安楽死を検討する必要もあります。
海岸に打ち上がったり港湾に迷い込んで衰弱している個体は、海に戻してもしばらくして死亡し、海岸に漂着することが多いです。もともと病気などの異常があって打ち上がったり、打ち上がることで内臓が圧迫され致命的なダメージを負うためです。
そのためストランディングした鯨類がまだ生きている場合は、水族館など専門機関でないと適切な対応が取れないことがほとんどです。FSNでは県内外の水族館や研究機関とコネクションがあり、専門家の助言の下に放流や運搬など適切な対応を行います。

静岡県熱海市の港に迷入したアカボウクジラ。一度は港外に運搬されましたが死亡し、後日近くの海岸に死骸が打ちあがりました。トラックに載せてFSNの敷地に輸送し、解体して埋却処理を行いました。

混獲

定置網や刺網などに誤って鯨類がかかってしまうことがあり、このような場合を混獲と言います。刺網や巻き網では混獲された鯨類が死亡してしまうことも少なくありません。そのような場合も、少なくとも鯨の種を明らかにする必要があり、保護対象種であれば水産庁への届け出と死骸についてはストランディング個体と同様に何らかの処理が必要になります。

ストランディング鯨類の対応については以下にご相談ください。

電話:0545-67-1397(事務所) または  090-8739-1378(携帯)

メール:fsn@kujira110.net

地域の方へ ― ストランディング鯨類を見つけたら

ストランディングした鯨類を見つけても不用意に近づかないでください。 特にその動物が生きている場合は、暴れることがあり大変危険です。また鯨類を含む野生動物は、人間にも感染する可能性のある病原体を保有している場合があります。まずは富士ストランディングネットワークまでお知らせください
電話、メール、公式LINE、Googleフォームなど連絡手段をいくつか用意しています。
ご利用しやすい方法で、情報提供をお願いいたします。

● 電話またはメールで連絡

電話:0545-67-1397(事務所) または  090-8739-1378(携帯)

メール:fsn@kujira110.net

● 情報提供フォームから連絡

のボタンをクリックするとGoogleフォームが開きます。項目に沿って順に発見日時や場所を入力し、最後に送信ボタンを押してください。このフォームでは情報提供者の了承なく個人情報を集めることはありません。

公式LINEから連絡

 公式LINE開設しました。右のQRコードから友達登録してください。
 登録しておけば「いざ!」というときの連絡も簡単です。
 ぜひご登録ください。

<公式LINE>富士ストランディングネットワーク通報用 

富士ストランディングネットワークは伊豆三津シーパラダイス、東海大学、国立科学博物館など県内外の研究機関や水族館とも情報共有しています。静岡県のストランディング情報は当団体にお寄せいただければ各地の機関と共有し、すぐに対応いたします。県外のストランディングについても対応実績がありますので、まずはご連絡ください。

研究機関の方へ

FSNではストランディング鯨類の処理に際して調査研究用の試料採取も行っています。表皮や筋肉などの組織、各種臓器、骨格など研究用途としてご入用の部位を事前にお伝えいただければ無料で採材いたします。また事前にご連絡をいただければご自身で鯨体から採材していただくことも可能です。

※鯨体の処理では事故防止の観点から関係者以外の立ち入りを制限する場合が多いです。採材をご希望の場合はかならず事前にご連絡ください。

※ストランディング鯨類から標本を採取するには水産庁への届け出が必要です。書類の内容や提出先は鯨種によって異なりますので都度相談となります。